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少女は確信した。玄関から続く、赤黒い点は夥しい血の塊・・暗くてわからなかったが、床にたまる水溜りは紛れもなく、血の水溜りだった。そこに浮かぶ、両親の絶望と恐怖の顔をした頭部がプカリと少女の前にあった。段々、目が暗闇に慣れると自然に嫌でも飛び込んでくる・・両親の手、足・・腕が容赦なく少女を襲った。しかし、更なる悲劇が少女を襲う。
家の奥で怪しい影がグチャグチャと母親の体の肉を喰いちぎり、骨はむき出し、あばら骨の隙間から滴り落ちる鮮血が少女の思考回路を麻痺させる。彼女は恐怖のあまり、声も上げられず、逃げることさえできぬまま、その場に座り込んだ。
「お前は、俺が見えるのか?」
ざらりとした低い声。声の主は異形の者。
少女はその姿に愕然とした。ギラリとした目で少女の姿を映しながら、ぺろりと舌なめずりをする妖怪は少女との距離をジリジリと縮めていく。
「あっ・・あぅ、あっ」
恐怖で肩はガタガタと震え、声がうまく出せなかった。
もう駄目だと思い、少女は固く目を閉じた。頬に血まみれの手が触れようと、少女の目が開くことはなかった。その時。
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