In the 図書館

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寒い。 友達のユキからの情報では、 [今日は、最高でも16度位らしいよ、その服じゃ、寒いわよ。] だそうだ。 もっと厚めの上着を着て来ればよかった、と後悔している。 次の講義までは2時間半もあるのに いつも一緒にいる ユキは、先輩に呼ばれたらしく、 あたしは、一人ぼっちで その暇を潰さなくてはいけなくなった。 大学の図書館は、暖かいし静かなので、次の講義の予習として、睡眠学習をしに行く事にした。 まぁ、つまり 昼寝って事。 建てたばかりで 綺麗な図書館の入口で、学生証のカードをスキャンすると改札みたいな機械が開く 通るたび、 ハイテクだなぁ。なんて思ったりする(笑) 運良く、図書館は空いていて、一番奥の長机にも誰もいなかった。 早速、机に突っ伏して、目を閉じた。 空調の音を聞いてる内に、気持ちよく夢の中…… 横で、ペラッと紙をめくる音を聞きながら意識が戻ってきた。 時間を確認すると、まだ、30分位は、余裕がある。 横をみると 二つ隣の席で、黒のジャケットの男が、本を読んでいる。 席がいっぱい空いてるのに、他人の近くに座るなんて、珍しい人だなぁ、と思って横顔を見ると、 美形って感じではないが、切れ長の目が なかなかセクシー(笑) 結構、好みかも。 横目でチラチラ見ていると 彼は、本を片付け席を立ってしまった。 残念に思いつつ、彼が座っていた席を見ると、椅子の下に何か落ちている 拾ってみると 電車の定期券のケースだった。 これって、無いと困るはずだよね、 慌てて、彼を追いかけて図書館を出た所で捕まえた。 『あのっ!すいません!』 「えっ?」 『これっ、落としましたよ。』 「あ…、ありがとうございます。」 正面から見ても、良い感じな人だな。なんて思いながら 『いいえ。』 って、スマートな女性を演じて、立ち去ろうと思ったのに… あたしは、まんまと入口の改札に引っ掛かった。 出る時はいらないが、入る時に必要な 学生証を机に置いてきてしまったのだ。 後ろから、彼が 「あの、 僕の学生証で、ピッてやりますよ。」 『す、すみません(汗)』 ・ピッ、カチャ・ 「どうぞ」 『ありがとうございます。』 「いや、こちらこそ。」 彼は、スマートに帰っていった。 荷物を取りに机へ戻り、時計を見ると授業が始まる時間だ。 急がないとまずい。バタバタと、図書館を出て教室に向かう。 とことん、あたしはスマートには、振る舞えないらしい。
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