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「真治…もう大丈夫なのか?」 幼なじみで親友の鶴音 正信(つるね まさのぶ)が家の階段を上りながら心配してくる。 「もう大丈夫だよ」 泣きすぎて涙も枯れたのか、心は閑散としてしまっていた。 「……ここも片付けないとね」 母の寝室のドアノブに手をかけ、開ける。 部屋は母が仕事に急いで出て行ったままだった。 「…無理すんなよ」 一言だけ言って静かに部屋に入ると片ずけを始めてくれた。 「うん…」 正信の優しさが渇いた心に染みた。
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