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リビングにはチクタクと時計の音とテレビの音が響いていた。 『あはは、でね…』 リビングでテレビを見て何分経っただろうか。 あれから正信も帰宅して、今はただボーっとしているだけだった。 いや、ただボーっとしているというのは間違いか。頭の端には常にあの『箱』の事が残っていて、嫌でも考えていた。 「…っ」 唇を軽く噛む。 つい気を許すと『箱』のある母親の部屋に行きたくなる。 なぜこんなにも『箱』の事を警戒しているかというと、正信が危険視しているからである。 ただ他の人が危険視しているならいい。 “あの”正信が危険視する物なのだ。 なぜこんなに正信の事を信用してるかというと、正信の勘は異常なほど当たるのだ。 ある日、一緒に出かけることになったとき、「あの店、なんか嫌なカンジする」と言って行く予定だった店を半ば強制的にキャンセル。そして、その日の午後、その店は強盗に襲われ、死傷者5名の事件が起きた。 それ以来も正信の勘は嫌な事関連では殆どハズレがなく、俺はその勘を信じきっている。 「…今日はもう寝よう」 嫌な事は寝れば紛れるハズだと信じて。
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