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「たぶんやけど、石田がライバル視しとるコンビがここおるやないかな?」
「…石田が敵視しとるコンビを、夢の中のM-1で蹴散らしとるということか?」
「あいつはM-1で優勝したし、確かに漫才の才能はある。やけど、世間の評価はあまりにも低いやろ?2位やったオードリーはいろんな番組に出とるのに」
そういえば、散々、フリートークが出来ないとか言わておったな。
「はるかの時にそうやったように
心の闇に夢魔はとり憑くやないかな?甘い夢をみせて、だんだんそいつを食い尽くしていくんやと俺は思うねん」
「それじゃあ、夢魔は石田が一番誇らしかったこの時間を繰り返しみせているってことか」
「たぶん」
俺は白い衣装をまとった石田を
盗み見た。
緊張が体から溢れ出ている他の芸人と違い、石田は余裕すら見える。
井上も緊張の色は見えなかったが座ったまま無表情で前を向いているだけ。
「ライセンスさん、
用意お願いします」
俺らに声がかかった。
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