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『苦節164年、994匹の夢魔を捕まえてきた。
ワシ、あと6匹捕まえれば、転生できるんじゃ。頼む!』
「なんで俺がせなあかんねん?」
俺はおっさんの横にあるぬるくなったビールを喉に流し込んだ。
おお、ちゃんとビールの味する。
なかなか器用な夢やなぁ。
『ワシのメガネをあんちゃんの中に忘れてきてしもうたからや』
はい、意味わかんない~!
でも、まぁ、夢やし。
「おぅおぅ、わかった。
俺に任せろや!」
『ホンマか!?ありがとな!
捕まえ方なんやけど、夢魔は悪夢の中の何かに化けとるさかい、それを見つけて壊すだけや』
「簡単やんけ~」
『頼もしいなぁ、じゃあ、今日からお願いするわ』
おっさんは恵比寿様みたいな顔でニコッと笑い、フッと空気に掻き消えた。
「消えた…。
あー、やっぱ夢やったんや」
ま、そんな日もあるやろと俺は気にせず、布団に入った。
目をつぶると同時に眠りにつく。
目の前には扉――――
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