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黒い重そうな扉。
ドアノブがなく、
周りの壁も見当たらない。
薄暗い何もない空間に扉だけが浮かんでる。
「…ここはどこや?」
何も聞こえない無音状態に不安を掻き立てられ、今まで感じたことのない渦渦しい空気に包まれている。
「やめてくれやぁ~。俺、ホンマ苦手やねん、こんなん感じ」
ボソッと呟いたが、
もちろん誰も答えない。
「誰かおらんの~?
お~い!
…貴ちゃぁーん!」
寂しくて愛しい相方の名前を呼んでみた。無論誰も答えない。
となると、この扉か。
一歩近づき、ドアに触れる。
冷たい陶器のような触感。
「開けてみよかな…
ってドアノブ無いし!」
あぁ、悲しい一人ツッコミ。
……ッ……ウ……
…なんか聞こえる?
扉の向こうから聞こえてきた。
「誰かいるんか…?」
俺は耳を扉に当てて
聞き耳を立てる。
「グスッ…みんな嫌い
…みんな嫌い…」
か細いまだ若そうな女の子の声が…泣き声が聞こえた。
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