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シャスタとシルビアが人目を気にせず交際できるようになって数日が過ぎた。
財団内では彼らの熱愛ぶりが評判となっている。
というのも、二人が機械と人間の恋人同士とは思えぬほど仲睦まじいからだ。
そんな中、とある海岸では財団を揺るがす大きな事件が起ころうとしていた。
金属探知機を持ち、宝探しをしているジョンとマンディ。
そこはあの海岸。
2年前、カールが海の藻屑と消えた海岸だった。
戯れながら探していた二人が砂の中に黒い金属を発見する。
傷一つ無い滑らかな金属。
少し掘り、その物体の正体を知る。
「車だ!まだ新車だぜ!?」
「どうしてこんな所に車が?」
疑問に思いつつ掘り出す二人だが、ウインチで引っ張っても動かない。
諦めかけたその時、車がひとりでに発進した。
理由は分からないが、とにかくこの車は格好いい。
ジョンが一周して眺め歩く。
それはトランザム。
鏡のように物を映し出す綺麗な黒いボディだった。
と、運転席のドアが開いた。
中へと誘うように開いたドア。
迷わず乗り込み、驚くジョン。
数々の計器類にたくさんのスイッチ。
モニターも付いた、スペースシャトルのようなコックピット。
ハンドルの形も変わっていた。
ふと、足元にプラグを発見する。
外れていたそれを、おもむろに差し込み車を降りた。
『ふ~。』
その声と共にボイスインジケーターに黄色い光が点滅する。
カールの復活だった。
その車の正体も知らず、二人は乗り込み走り出す。
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