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「浩一ぃ!早く来いよ!」
またあいつが名を呼んでる。
窓の外を見下ろすと、目に入ったのは親友の速水恭一(ハヤミキョウイチ)。いつも一緒にいる男だ。
事実、今までの十年間の記憶の中で、奴と離れた記憶はない。家族ぐるみの仲だから旅行だって一緒に行った。ま、腐れ縁ってやつかな。
「今行くよ。ったく…」
今だって朝、窓の下からあいつが呼んでいる。正直、目覚めが悪い。
あいつ…馬鹿のくせに朝だけは早いんだよな…
椎葉浩一(シイバコウイチ)は目を擦りながら、ベットから降りた。そして服を着て部屋から出た。
いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない親友。
正直、そんな生活に飽き飽きしてきた。
刺激が足りないんだ…。何かないのかな?面白いこと……
浩一はため息をついた。
まだ高校生の僕だが、思考はしっかりしてるんだ。だけど大人は分かってくれないだろう。
浩一は諦めていた。
だが…今日はいつもと違っていた。
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