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「驚いたなぁ…前田がねぇ…」
浩一の前の空いた席に恭一が腰をおろした。
「沙希…」
瑠美は両手を顔に当て、すすり泣いている。
浩一は黙り込んでいた。
「なぁ…」
浩一が口を開く。
「前田は何で夜遅くまで外出してたんだ?理由が理由ならいいが…」
「それなの」
瑠美が両手を顔から離した。
「はっ?」
「さっき浩一に話そうとした、巷で噂になってるって話」
「ああ、あれか…」
確かに興味が持てず話を遮ったな…。
しかしクラスメートが死んだのもあり、先程の無関心はどこかにふっとんでいた。
「聞かせてくれ」
「えっ?うん…」
一瞬、驚いた表情を見せた瑠美だったが、体を浩一の方に向け、口を開いた。
「あのね、『かくれんぼ』って話なんだけど…」
興味が湧いたのか、いつの間にか恭一まで話に入ってきていた。
「あくまで噂だよ?あまり真剣に聞かないでね」
「いいから早く話せ」
浩一が急かす。
いつの間にか、クラスのほとんどの生徒が瑠美を中心に集まっていた。
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