最期

2/2
前へ
/13ページ
次へ
今日も私は微笑むはずだった いつものように 貴方の病室で 貴方の笑顔に迎えられて けれど 貴方は横たわったまま 隣に立つ医師が 『つい先ほど…』と 嘘…… 目の前が暗くなる そこからは何も聞き取れない あれっ…… 笑ってよ いつもみたいに やつれた笑顔で 私の胸を締めつけてよ 涙を堪えて笑うからさ 貴方はいってしまった 最期の時をひとりで迎えたのだ 誰に看とられることもなく 誰に手を握られることもなく 何故もう少し早く 来なかったのか 後悔と絶望が心を満たす 私は崩れ落ち その場に座り込む 声を出すこともできず 気を失うこともできず 涙だけが 静かに流れ落ちた
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加