3036人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
「ありがとう、綺。」
永遠の指先から水が滴り落ち、シンクに粒を作る。
永遠の綺麗な笑顔が、白く灯る明かりに照らされ、より輝いた。
永遠の睛の光は強く、柔らかい。
…一瞬、嫉ましく思えた。
―《東京》が、《諦めきれない夢》が、永遠を奪っていく。
もちろん、私にはどうすることもできないけど。
私にできること。
それは何だろう。
「あと、もう一つお土産があるんだ。」
すっきりした顔の永遠がはしゃいだ声を上げ、キッチンを出る。
私にできること。
私にしかできないこと。
永遠の綺麗な笑顔のために。
「なぁに?」
楽しそうに話している永遠の背中を見ながら、私もキッチンを出る。
最初のコメントを投稿しよう!