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中年の男の首から不自然なくぼみが消えた。
同時に男の身体が落下を始めた。
男が宙吊にされていたのはビルの五階程度の高さだ。
即死はしないだろう。
だが、決して『生きて』いられる高さでもない。
グシャリと、濡れた雑巾が落ちるような音がした。
落ちたのはむろん名も無き中年の男。
少年は生きているかなど確認はしなかった。
これからやってくる救急隊員も、搬送される病院の医師も、すべて彼と同じく依頼を受けた人間なのだから―――――
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