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ついに君と会う日がやってきた。僕は友達とはいつも通り接しているつもりだったが、きっとおかしなテンションでいたに違いない。心の中では緊張と不安で押し潰されそうになっていた。
君と会う場所は、初めて手を握り、抱き寄せた廃校だった。いつも会う時はここだったので、この日もここで会う約束をしていた。
君を見かけて近づくと、僕がプレゼントして、いつも大事にしていたネックレスや、お揃いで一緒に買ったミサンガが身につけられていなかった。本当に別れるつもりなんだろう…悲しみで心がすごく苦しかった。
君との会話はもちろん別れ話についてだった。僕は諦めきれず
『絶対別れたくない。考え直してほしい。』
と言った。しかし君は
『無理…もう決めたことだから…君からの好きって気持ちが重すぎたの。』
と言ってきた。僕の気持ちが重すぎた…好きになりすぎて、その気持ちが悪い方向に傾いていたのだ。そんなことにも気付かずに僕は今まで付き合っていたのかと思うと、自分の情けなさに本当に腹がたつ…君の気持ちにも気付かずに…
『…もうやり直せないの…?どんなに頑張っても無理なの?君の為なら何でもするから…』
僕は君の前にもかかわらず泣きながら必死に説得した。それを聞く君もいつしか泣きながら《無理だよ…》と悲しい声で何度も何度も言うだけだった。
…何で泣いてるの?
…何が悲しいの?
…僕に同情でもしてるの?
…泣くくらいなら何で別れるの?
…僕は訳がわからなかった。君の気持ちなんて全くわかるはずもなく、ただひたすら二人で泣いていた。
一時間が経過した頃、僕はようやく泣き止み、少し落ち着きを取り戻していた。そしてまだ泣いている君を優しく抱いた。初めてこの場所で抱き寄せた時のように。
ホントはすごく辛い…ホントは君を離したくない…ホントは君が大好きでたまらない…しかし君はただ『別れよう』と言うだけだった。だから僕は心で思ってなくても
『君がそんなに言うなら別れるしかないかな。今までホントに幸せでした。僕と別れても幸せになってください』
と言い、今までで一番悲しくて、優しいキスをした。
『君は最後まで優しすぎだよ』
と君は言いながら帰りの電車に乗った。僕は遠ざかる電車に見えなくなるまで手を振った。君の後ろ姿は悲しみで泣いていた。
…こうして僕たちは別れた。
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