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「あいててて…」
立派とは言えないが、小さいとがった角が生えた少年が、すりむいた頬に手をあてる。
「そろそろ竹馬くらい乗りこなしたら?めがポンは足長なのがウリでしょ」と、こちらはさっきの少年より細く、枝分かれした角を生やした、カノッコが竹馬に乗って、くるんくるんと少年の周りを回ってみせた。
彼女は大人になって『カノキョン』になるまで、めがポン見習いとして訓練を受けている。
少年とは幼なじみで、ケンカでも、かけっこでも、とにかく何でもカノッコの方が優れていた。少年はそれが嫌だった。
「うるせえな、何でも出来るお前に言われたくねえよ」少年がそう言うと、
「折角モギュに生まれたんだから、そんなことでやめちゃ勿体無いわよ」地面にいじけてねっころがっている、モギュ、と呼ばれた少年の頭をぺしっと叩いた。
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