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モギュは立ち上がり、もう一度竹馬に乗った。カノッコはそれを小さい子のする劇か何かを見ているような目で見ていた。
そっと竹馬の足を踏み出し、もう一歩出す。
あと一歩――。また転んだ。
「前よりは進んでるじゃん」カノッコは笑った。
「まあな」モギュは竹馬を持って、立ち上がりながら返事をする。
「でもこの調子じゃ、あんたの〔パパ〕には追いつけないわよ」
夕日を背に、二人は竹馬を持って、各々の家へ帰っていった。
モギュが自宅に戻ると、椅子に座った半分ミイラになった父親が「おかえり」と言ってくれた。
母親は料理の用意をしているようだ。
「今日は歩けたか?」と父親が聞く。
「うん、ちょっと」とモギュが答え、そうか、よかったな、と父親が言うのに、はあと生返事をして、自分の部屋に行った。
―モギュの部屋にて
なんで竹馬に乗れないんだろう。カノッコや他の人達は乗れるのに。練習も毎日頑張ってしているのに。
他に、めがポンの中には足長に生まれ、竹馬がいらない者もいる。
自分も足が長かったら良かったのに……擦り傷だらけの足を恨めしそうに見て、寝床に寝転んだ。
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