~噂~

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~噂~

四年生… その頃から 誰が流したのか、噂が広がっていた     「大丈夫!本人には言ってないし!な?」     …何が、な?なのだろうか。 自然と本人に噂がまわっていく事は目に見えているだろう。というかお前か犯人…等と考えながらも 誰かが言い触らすのは毎回恒例の行事。 それに自分が友人達に言ってしまった事がそもそもの原因…   私は、いさぎよく腹をくくっていた。     四年も終盤…という頃、保健室の掃除当番でネズミ君と同じ班になった。 もうひとり、私ともネズミ君とも仲の良い男子もいた。   後に、もうひとりの男子の方から告白されたのはこの数年後のことだが…詳しくは触れないでおこう       保健室といえば、どの掃除場所より楽なもので… 狭い室内を、それも三人でほうきで掃いてから棚や机を雑巾で拭くだけである   保健医からOKのサインをもらえば、後はもう遊び放題だ   いつも三人ソファで飛び跳ねて遊んでいた     …ある日… いつものようにソファの上で跳んでいたら、ネズミ君が話し掛けてきた   「お前さー、俺のどこが好きなん?」   かなり軽いノリで言われたが、まず思った事は   やはりバレていたか…   しかしそのまま原因をスルーするのも、子供心にどうかと思った   そこで、 「ちょっと待て…なんでその事知ってんねん。しかも本人にいきなり聞くか?!」 こう投げ掛けた。   するとやはり跳びはねながら 「んー、あー、いやあ…?なんとなく」     なんと曖昧な答え。 なんとなくて何だよなんとなくて。     「うーん…いつもは顔で惚れるんだけど、お前の場合…何やろな。なんか好きになってた」   言っててかなり恥ずかしかったこの台詞。 なのにネズミ君という奴は…   見れば、もう片方の男子と喋っているではないか。     「こらー!聞いといてそれかよ!」   「え?ああ、何やっけ?」   「もうええわアホ…」     そうなのだ… ネズミ君は天然とまでいかないが、かなり大雑把な男だったのだ…   それ以降、こんな質問は一度もされなかった。
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