Prologue for Epilogue

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しばらくして警官が一人到着した。 懐中電灯を持ち、コートにうずくまるように体を抱え込む。 この寒い日に面倒だな。 通報で言ってた場所はこの辺りだろうか。 港に近い海沿いのコンクリート地に、赤黒く錆びれた倉庫がいくつか並んでいる。 通報があったにしてはいやに静かだった。 音の無いモノクロの世界は、あまりに現実を帯びていない。 そこに踏み入るのはひどく躊躇われたが、海上保安庁の隊員が来るまでにはまだ時間がかかるらしかった。 仕方ない。 警官は恐る恐る倉庫を調べることにした。
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