Prologue for Epilogue

5/6
前へ
/101ページ
次へ
中にはキイと音を立てて揺れる豆電球が薄暗い倉庫内をかすかに照らしていた。 警官は怠慢の流れ作業の慣れから、少々乱雑に懐中電灯で足元や壁を照らした。 すると、懐中電灯が一瞬だけ異様な物体を捉えた。 ドクンとびくつき鼓動が早くなる。 だが確かめないわけにもいかない。 警官は灯りの焦点をその物体に定め、不気味に思いながらも恐る恐る近づいた。 しかし、灯りがその物体の全貌を照らし出した瞬間、警官は声にならない悲鳴をあげて尻餅をついた。 手から転げ落ちた懐中電灯が照らした壁には、血痕の線が4本、大きく斜めに付着していた。 よく見るとその下には暴力団組員のような男が壁にもたれかかって倒れていた。 警官はようやく目が慣れてきた。 そして、この倉庫内の異常な状況に気づいた。 倉庫内には幾人もの死体が倒れており、夥しい量の血痕が倉庫の壁を覆っていたのだ。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加