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早く逃げなければ。
警官はどうしようもない焦燥感に駆られた。
腰が引けていたが、なんとかそれを持ち上げ急いで倉庫を出た。
そして、パトカーに向かいながらさっき自分が見たあの“物体”は、実は死体なんじゃないかと疑った。
しかし、思い返せば返すほど、より明確に、より鮮明に、その物体は脳裏に焼き付いていく。
自分の心は有り得ないと必死に訴えていても、目で見た事実がそれを否定する。
横たわった尋常じゃない体の大きさ。
全身を覆う黒い体毛。
背中に生えた黒い翼。
長くするどい爪に2本の角。
黒い眼球から流れる透明な液体。
あれは“人”ではなかった。
そう、その姿はまるで……
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