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また、家がざわついている…
「ヴェスト、大丈夫か?」
「兄さん…」
顔色の優れないルートの頭をギルが優しく撫でた。
ここ最近ルートは気分が悪そうだった。
無理もない、ルートの家ではまたギルとルートを離れ離れにした方がいいと言う人達が出て来ているのだ。
「兄さん…オレは…」
「ヴェスト…」
ルートは自分の頭を撫でるギルの手を握り、自分の頬に添わせた。
「オレは…もう2度と兄さんと離れたく無いんだ…」
あんなに強く気高いルートが、目に零れそうなほどの涙をためていた。
「ルート…っ」
一筋、零れ落ちた涙を隠すようにギルがルートを抱き締めた。
「大丈夫だ…もう離れるなんてこと無い、絶対に」
「兄さん…」
子どものように泣きじゃくるルートを抱き締めながら、ギルは回りの人間を睨み付けた。
お前らの勝手で、
1度ルートを手放した。
もう2度と、何があっても
ルートを手放すものか。
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