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「ねぇルーイ、猫は好き?」
急に尋ねられ唖然としたが、理由を聞けばアーサーの家の近所で子猫が生まれたから、貰ってやって欲しいということらしい。
フランシスは上司が猫嫌いで飼えないのだと言う。
「…飼わんぞ」
ルートは読みかけの本を、座っているソファーに置いた。
「なんで?ルーイ猫嫌いなの?」
「別に嫌いではないが、ウチには犬がもう3匹いるし…」
そう言ったルートの声に返事をするように、向こうの部屋で愛犬3匹がワンと鳴いた。
「それにもう猫は飼っているからな。その猫だけで手一杯だ」
「ルーイ猫飼ってたの!?」
「あぁ、勝手に住み着いてるだけだがな」
「へぇ…いいな、今度来たら見せてよ」
「……今現在来ているんだが」
「本当!?どこ?」
ルートは少し苦笑いしながら、スッとフランシスを指差した。
「え…っ?」
「金色の毛並みと青い瞳の、フランシスという猫なんだが」
そう言うとルートはフランシスの腕を引っ張り、フランシスを自分の腕の中に納める。
そしてフワフワと揺れるフランシスの髪を指で梳いた。
「こんなに愛らしい猫がいるんだ、貰われて来た猫の相手が出来ないだろう」
その猫が可哀相だ、と言いながらルートはフランシスの瞼に優しくキスをした。
フランシスは顔を真っ赤にしながら、ニャーと小さく鳴いた。
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