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僕の旅は続きます。
次に立ち寄った村は、『貧しい村』でした。
そこの人々はみんな貧しい生活をしていました。
だけど、誰一人として不幸な人はいませんでした。
僕は思いました。
どうしてみんなは貧しいのに不幸だと思わないのでしょうか。
気になった僕は、忙しそうに働いている女の人に話し掛けてみました。
「どうして貧しいのに、それを不幸だと思わないんですか??」
女の人は答えてくれました。
「それはね、貧しくないと気付けない幸せがあるからよ」
貧しくないと気付けない幸せというのが僕には分かりませんでした。
「それはどんな幸せなの?」
女の人は笑顔で言いました。
「ほんとに些細なことで良いのよ。
凄く寒い日に、温かいスープが温かいって改めて気付くように。
暑い夏の日に、川の水の冷たさが気持ち良いって気付くように。
貧しくないと気付けないような些細な幸せが沢山あるって気付いたの。
凄く幸せな毎日じゃないかもしれない。
だけど、
今日も天気が良くて気持ち良い。
それで良いじゃない」
そう笑顔で言って、女の人はまた忙しそうに行ってしまいました。
些細な幸せってどんな感じなんだろう?
僕にはまだ気付くことができませんでした。
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