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翌日から教官の指導による基礎訓練が始まった。
生徒達は地球でも訓練をしてきたが、バラックスのそれは比ではなかった。
そもそも地球を離れたこの地が聖地と呼ばれるには理由があった。
地球では十分な訓練が出来ないためである。敷地の確保はもちろん、発砲や金属の衝突音は騒音として住民から苦情が来る。
「……で、コンバットは宇宙に追い出されたわけだな」
もちろんこの眠くなるような授業も訓練の一環であった。
訓練は午前中で終わる。午後からはチームによる自主練習となっていた。地球ではなかなか使わせてもらえなかった弾薬も許可証にサインさえ出せば使い放題という待遇だった。
ひかる達、アマノガワのメンバーも毎日のように格納庫へとやってきていた。
背丈の約三倍ほどの金属の塊。中央のハッチを開けるとちょうど人が一人入れるスペースがある。
「乗るっていうか着る感覚に近いよねコレ」
「だからアーマーって呼ばれてるんじゃない」
「玲菜ちゃん、そんなヒラヒラしたような服でよく動けるね?」
「だからって貴方みたいにジャージでは入りたくないわよ。貴方も女ならお洒落には気を遣いなさいよね」
三人がほぼ同時にアーマーの中へと入る。
『ジャージ動きやすいよ?』
『あぁ、もう好きにして。でもそのアンテナみたいな寝癖だけは何とかして。虫みたいで気持ち悪いから』
『ひっどーい!かぶと虫みたいでカッコいいじゃない!』
スピーカーから軽快なやり取りにひかるはクスクスと笑う。
『あら、何が面白いのかしら?』
「いや、別に」
ひかるは起動準備を進めながら答える。
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