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「え……あ、うん……」
「私もトルーパーなの!私、天見愛流(あまみあいる)。宜しくね」
愛流は右手を出した。
「……ボクは曽根川ひかる(そねがわひかる)」
ひかるが静かに自分の右手を合わせると、愛流はその手をブンブンと上下に勢いよく振り回した。
「でさでさ、ひかるちゃんのアーマーは何型なの?」
愛流は昔からの知り合いのように話し掛ける。しかし馴れ馴れしいというような負の感情は一切沸いてこない。
「ボクのは二足型だよ」
「一緒一緒!私も二足型!」
「競技者の半数以上は二足型みたいだからね。身体にも馴染みやすいし」
「私は多脚型と悩んだ」
「多脚なんて一割にも満たないよ。一度乗ったけどクセが強くてまともに歩けなかったよ」
人見知りであるひかるもすんなりと彼女を受け入れることが出来た。同年代の共通の趣味を持つ者に出会ったからだろう。
「でも本当に良かったぁ。女の子の友達がいるとこの先も安心だよ。あ、ここでちょっと待ってて。飲み物買ってきちゃうね」
愛流はパタパタと走っていった。一人残されたひかるは再び、窓の外を見る。遠くに宇宙船が見える。
地球に向かっているのだろうか。すれ違うように進む宇宙船を目で追っていく。
すると、船内に一際目立つ女が立っているのが目に入った。
ピントが外の宇宙船からこの女へと移る。
金色の長い髪と白い服、そして透き通るような肌。背景が黒一色のせいか、それらがより一層映えて見える。
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