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しばらく見とれていると当然、目が合ってしまう。
女は視線を合わせたまま、ツカツカとひかるの方へと歩いて来た。あまりにも真っ直ぐなその目から視線を外すことが出来ないばかりか、目の前に女が来るまでひかるはまばたき一つ出来なかった。
「貴方、前衛?後衛?」
「……へ?」
「だからスタイルよ。ショートレンジかロングレンジか」
「何でボクがトルーパーって……」
女は深呼吸にも似た大きい溜め息をついた
「子供が一人でこの船に乗る理由が観光目的なわけないじゃない。となると理由は一つ。貴方もバラックスに行くんでしょ?」
「う、うん」
「貴方みたいな人がコンバットに参加するとはね……冗談だと思いたいわ。まぁいいわ。名前は?」
「ボクは曽根川ひかる」
「ふ~ん、ひかるね。男ならもうちょっとシャキッとしなさいよね」
女はくるりと背を向け、ひかるから離れていく
「ま、待ってよ!」
「……何?」
「君の名前……」
女は無言のまま、しばらくひかるの目を睨み付けた。
「……上之宮玲菜(うえのみやれいな)」
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