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今となっては宇宙に惑星以外に、金属の固まりがたくさん浮いている光景も珍しくはない。
太陽系第2宇宙コロニー『バラックス』
ひかるにとっては初めて降り立つ地球以外の場所だった。
しかし、宇宙船から一歩外に出ればそこは地球と何一つ変わらない。むしろ、地球より空気が少し澄んでいるぐらいだった。
「んー。宇宙に来たって実感ないね」
いつの間にか愛流が隣に立っている。
「でもここはもう地球じゃないんだよね」
「そうだよね!トルーパー憧れの地……あぁ~……早く暴れ回りたいなぁ」
愛流は大きく背伸びをする。心なしか頭の上の癖っ毛のような部分も伸びたように見える。
「あ、送迎車が来たみたいだよ」
ひかるが指差す先にバスが見える。ここが科学技術の塊だとは思えない程普通のバスだ。
「よし!乗ろう乗ろう!早く私のヘラクレスをひかるちゃんに見せたいなぁ」
「名前、ヘラクレスって言うんだ?」
「うん、凄ーく凄ーくカッコいいんだから!」
愛流はひかるの腕を引っ張りながらバスに乗り込む。
「やっぱりバスは最後尾でしょ!」
愛流は誰もいないのをいいことに最後部座席に堂々と座る。ひかるはどこか申し訳無さそうな感じでその横にちょこんと座った。
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