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リディはなんとか会話を続けようとルディアの脇にある鞄に目をつけた。
「ルディ、その鞄には何が入っているの?」
ルディアはリディの顔を一瞥してから鞄に目を向け
「ムシャーテ領の政策書類の一部です」
と言い、再び窓の外に視線を戻した。
リディはルドラと目を合わせ、ルディアに確認を取ってから鞄から数十枚はあろう書類を取り出す。
その量は明らかに多い
「ルディアはこの量を一人でやっていたのか…」
「…?いえ?申し上げたとおりそれは一部です。私の書斎にはそれが山のように積んであります」
「何?文官達は何をしている!?」
「それを見ればわかるかと…」
ルディアの言葉に頷き、ルドラ、リディは書類を読み始める
な、なんだこれは!?鉄の製造?それに見た事も無い数式の羅列…何を書いているのかが全く理解できない…
リディの方を見るが私より学のあるリディも私と同じように困惑した表情で私の顔を見ている
つまり――これはルディアにしか分からない
それは莫大な仕事量をルディアがほぼ一人で行っていたという事だ
二年間
ルドラは顔を伏せ、この二年間何も知らなかった自分をたたきのめしてやりたかった。
その後、ルドラが文官達を呼び寄せ、ルディアに教わりながら書類を片したのは
また、別の話である。
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