ζ―その世界の名は―ζ

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私が首を傾げると二人はハッと我に返り、お互いに顔を見合わせる。 …何なんだ一体 前の身体の時、私にはちょっとした特技、能力があった。 詳しくは知らないが、完全記憶能力という物で、見た物を頭の中で写真のように記憶するといったもの。 ただ、私の場合それだけではなく、肉体的に追い付いていれば相手の動きを自分のものに出来たのだ。 あの頃のあだ名はドッペルゲンガーさんだったなぁ… 私が軽く凹んでいると二人の会話が耳に届く。 「中将、この娘にもう作法を教えているのですか?」 「いや…食事のマナーと軽い言葉遣い程度だ。こんなに本格的な礼儀作法は教えてはいないのだが…」 ああ、そうか…普通5歳の子がこんな挨拶しないよね 「そういえば…こないだ客人を迎えた時にリディがこういった挨拶をしていた気が…」 「お父様…此処には何をしに来たのですか?」 なんだか面倒な事になりそうなので話題を変える。
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