ζ―その世界の名は―ζ

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「風と闇…中将が風で、確かリディ様が水と闇でしたね」 何やら重い雰囲気が流れてる。確か闇属性って他の属性に比べて強力で対抗できるのが光らしい。 闇はなんだか悪っぽいから何かと目の敵にされる事が多い。 やだなぁ…イジメられそう… 「ルディア、今から私が風の魔法を使って見本を見せるから属性玉に魔力を込めたように放って見なさい」 おじ様はそう言って、10メートル程先の人型の的に手を翳す。 『風よ、我に集い彼の者を斬り裂け ガルド』 放たれる不可視の刃。それは人型を通り抜け数秒、人型は胴から斜めにズレ落ちた。 「これが風の初級魔法『ガルド』。魔力の込め方によって威力が変わるがルディアにはまだ切り傷程度しかつけられない――『風よ、我に集い彼の者を斬り裂け ガルド…』 ルドラは自分の話の途中で魔法を放つ娘を見る。 「…きゃん!?」 勢いにまけ、尻餅をついたルディアの手から放たれた不可視の刃は、残滓に黒を残して的に向かうが、狙いが外れたのか切断までには至らなかった。 しかしズレてはいる。 表情の変化は乏しいが目を見開いていたままのルディアを見たが、全く疲れを見せていないのに驚いた。
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