O8..

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O8..

彼を待っている間. 彼が私を迎えにくる間 私は私の腕を 一つ.一つ 切り刻んでゆく。 赤い滴は腕をはいずり 落ちて. 床に広がっていく それはまさに椿のようで 薔薇のよう。 彼が私を迎えにくるはずがない 床には沢山の花が咲く. 切る所はもうない 咲く所ならまだある 鈍くなる刃 それは私の気持ちと 彼を待った時間 もう無理よ.意味がない 刃は私にしゃべりかける それに答えるように 私は切り出す。 分かってる.もう無理だって 落ちてく真っ赤な椿. 落ちてゆく 堕ちてゆく ポトリ 笑った。 私を. 真っ赤な真っ赤な私が。 .
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