序章

3/3
前へ
/170ページ
次へ
   そもそもすっかり大人になった僕が、何故今更になって彼等の事を書こうと思いあたったのかには、ちゃんとした理由がある。  あの頃まだ中学生だった僕にも今ではもう3つになる息子が居る。    先日の事だがその息子が僕の友人と全く同じような風貌の人物に会ったというのだ。当然、妻は信じなかった。  当たり前だ、僕が彼等に出逢った事も他のどんな大人に話したって信じてはくれなかった。そのせいで、僕は今まで彼等の存在を心のどこか奥深くの方に封じ込めたまま、この年になるまで生きてきてしまったのだから。    ともかく、僕は息子の話を信じた。  そして息子ともう一度向き合わなければならないと感じたのだ。  それだからこそ今こうして1人でも多くの人に彼等の事を知って貰いたいと筆を取っているのである。  きっと話を始めない事には何の話だか君たちには分からないだろう。  文章を書くなんてなかなか無い事だから拙いのは許して欲しい。折角だから物語風に始めてみるとしよう。    こんな出だしはどうだろう。    時は僕の中学生時代にまで遡る―。    
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加