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ユリの呼び掛けに、雪螺は微笑ともとれるような表情でこちらを向いた。
「何ですか?」
もうあまり時間がないので、ユリは卵を割りながら雪螺に聞いた。
「あんたご飯食べるの?」
その言葉に、雪螺は少し驚いた。
まさか気を使われるとは思っていなかったのだ。
本当におかしな人だ。
しかし、それを悟られないように笑顔を取り繕い、ユリの問いかけに答える。
「ええ、まぁそれなりには」
「ふーん」
ユリはさして興味がなさそうに、卵をもう1つボウルに割り入れた。
また音もなく雪螺がユリに近付く。
カウンターを挟んで対峙する。
「なんでそんなことを聞くんですか?」
なるべく優しく、問いかけてみた。
ここでもし貴女が私のためだと答えたら、私は貴女を軽蔑することにしましょう。
さぁ、答えは?
「別に。あたしの家で悪魔の死体が発見されたら困るのよ」
。
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