闇夜に抗うように。

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* 「なんですか、その格好は」 「は?」 ユリが慌ただしく制服に着替えて引き戸を開けると、目の前に雪螺が立っていた。 聞き耳立てるなんてなんつー悪趣味なやつ、と一瞬ユリは思ったが、雪螺のさっきの一言で全て吹っ飛んでしまった。 「なにって…制服だけど」 少々困惑しつつ答えた。 あまりに唐突すぎて嫌味も思いつかなかった。 最終確認をしようと雪螺を押し退けて洗面所へ行こうとすると、雪螺に二の腕を掴まれた。 一応手加減したのだろうか、力が入っていないように感じる。 掴まれた腕は全く動かないのだが。 「な、によ」 「それ、とって下さい」 「は?」 本日何度目かわからない、疑問符が頭に浮かぶ。 雪螺の顔を見るわけにもいかなくて、忙しくキョロキョロと目を動かすと、雪螺が鼻の上にある微かな重みを取り上げた。 中学から愛用してる黒縁の眼鏡。 「あ、ちょっと!?」 「あと髪もおろして」 もう訳がわからない。 しかもあと十分で家を出ないと、遅刻は確定する。 「ちょっ…止めてよ!」 。
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