お姫様の不満

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「イヤ! 絶対にイヤ!」 一人の少女の声が、広い食堂に木魂(コダマ)した。 ここはとある王国の食堂。 そこには純白のテーブルクロスに覆われた長いテーブルと、天井には巨大なシャンデリアが吊り下げられており、テーブルの中央には国王らしき男性が、その両サイドには妃と姫らしき女性と少女がいて、少女は国王を睨んだ状態で立ち上がっていた。 「聞き分けのないことを言うな玲奈。お前の学園へ入学することを許可しただけでもかなりの譲歩したんだ。この条件がのめないなら、この件は無しにするぞ?」 嫌がる娘――玲奈を宥めるように、またしつけるように、国王であり父親でもある晄神(コウシン)は言う。 「聞き分けのないのはお父さんじゃない! 私は人に行動を制限されたり監視されるのがイヤだから全寮制の学園に入学したいの! それなのに、護衛なんか付けたら元も子もないじゃない!」 納得のいかない玲奈は、に反論する。 「本当なら護衛人は三人。校外にも十人以上の腕の立つ者を配備させるんだ。それを"たった一人"の護衛人で済ませると言っている。少しは親の気持ちを考えなさい」 晄神の言葉を聞き、多少不満を抱きながらも、自分を落ち着かせ、玲奈は椅子に座った。 「……わかったわよ。で、私を護衛する人って誰?」  
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