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ラーメン屋を後にした青年は、隣接して並ぶ様々な食堂やおみやげ屋の裏にある駐輪場に向かっていた。
ここのパーキングエリアは少々独特の形をしており、本来は駐車場だけだったが、ツーリングへの道中にここへ停めたバイクのせいで車が停められない等の事から、バイク専用の駐輪場が設置された。
ただし、そんなに広いエリアでは無い為、建物の裏にあるというのが欠点であるが。
青年は白のボディにワインレッドのラインが映えるオンロードタイプのバイクに跨ると、ハンドルに掛けてあるこれまたワインレッドカラーのフルフェイスヘルメットを被り、キーを差し込んでエンジンを点ける。
「五時二十三分か…」
ライダースーツから取り出した携帯で時間を確認する青年。
「ちょっと遅い気もするけど…まぁいいか」
携帯をしまい、ハンドルを握ってクラッチを繋ぎ、駐輪場を出ようとした瞬間、
キキィッ!
そこまで広くはない駐輪場に、ブレーキの掛かる音が響いた。
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