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いつもと何も変わらない風景。
いつもと同じように学校へ行く準備をして、朝ご飯を食べて学校へ向かう。
「お父さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、亜璃亜」
肩には沢山の教科書が入った鞄と、反対の手には古びた一冊の本。
その本は幼い頃に亡くなった母親の形見で、毎日持ち歩いている御守りのようなものだった。
「おはよう、亜璃亜」
玄関の門を開けると、満面の笑みで挨拶をしてくれる幼なじみの南菜。
「おはよう、南菜。待たせちゃった?」
「大丈夫だよ」と彼女は笑顔で言った。
「今日もその本を持ってるのね。重たくないの?大丈夫…?」
「平気。お母さんの形見だし、それに持っていないと何故だか落ち着かないの」
内容はもう完全に頭の中に入ってしまっていた。しかしその記憶は、本を読んで覚えたのではなく、亜璃亜が実際にその国に住んでいたかのように鮮明に覚えていた。
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