夢から覚めたら

2/13
前へ
/155ページ
次へ
いつもと何も変わらない風景。 いつもと同じように学校へ行く準備をして、朝ご飯を食べて学校へ向かう。 「お父さん、行ってきます」 「行ってらっしゃい、亜璃亜」 肩には沢山の教科書が入った鞄と、反対の手には古びた一冊の本。 その本は幼い頃に亡くなった母親の形見で、毎日持ち歩いている御守りのようなものだった。 「おはよう、亜璃亜」 玄関の門を開けると、満面の笑みで挨拶をしてくれる幼なじみの南菜。 「おはよう、南菜。待たせちゃった?」 「大丈夫だよ」と彼女は笑顔で言った。 「今日もその本を持ってるのね。重たくないの?大丈夫…?」 「平気。お母さんの形見だし、それに持っていないと何故だか落ち着かないの」 内容はもう完全に頭の中に入ってしまっていた。しかしその記憶は、本を読んで覚えたのではなく、亜璃亜が実際にその国に住んでいたかのように鮮明に覚えていた。  
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1250人が本棚に入れています
本棚に追加