#01-SILENCE

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「……逃がすお」 「うん、それでいいな」 彼女は頷いた。 それから僕が、その間もずっと土下座を高橋名人がボタン連打するスピードで繰り出していた男の肩を再び叩く。 「早く行けお……じゃないと、明日の夕食に食べちゃうお?」 ……冗談だけどね。流石に人肉は臭くて食えたモンじゃない。 「ヒィィィ、すみませんでしたぁぁぁ!」 僕の顔を見た彼は、土下座をやめ、すぐさま闇の中へ走り出す。その姿を、最後まで僕らは見ていた。 薄暗いし、顔は見られていないかな。しかし、見られていたとしても、さっきの彼の怯え様からすると、きっと通報なんてしないであろう。 彼が逃げた方向に、ビルの間を吹き抜ける風は血の臭いを運ぶ。 「いずれここにも警察が来る……その前に退散でもするお」 「そうだな」 残された血の海は黒く淀み、真実をその中へ深く隠していく。 ――――また今日も上手くいかなかったなぁ…… そう思っていると、クーは黙って首を横に振った。 そう、それは、まだ迷いのある僕に対して、これは間違いではないとでも言うように。 ―――――ブーンとクー、 裏社会に現れた若い二人はこう呼ばれていた。 ―――――生かし屋。 ( ^ω^)と 川 ゚ -゚)は    生かすようです ―――そしてまた夜が明けてゆく。 #01-SILENCE
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