その放課後になる前に

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その内容を聞いて、険しい表情で考え込む愛流。 その後ろから、凛とした響きを持った女性の声がした。 「ちょっと、よろしいかしら」 通路をふさぐように立っていた愛流に声をかけたのは、上之宮玲菜。 イギリスの名門貴族である母と、日本有数の財閥である上之宮家の当主、上之宮創造との間にできた一人娘である玲菜は、すでに一年生の名門派の中でカリスマ的な存在になっている。 純粋な蜂蜜色の長い髪に、透き通った宝石のを思わせる青く美しい瞳が特徴的だ。 「あっ、ごめんね玲菜ちゃん」 愛流はそう言って道を開けた。 玲菜は軽く会釈をしながらその脇を通ると、ひかるの横にある自分の席へと荷物を置いた。 「おはようございます皆さん。で、何をそんなに騒いでらしたの?」 「そうなの玲菜ちゃん大変なの!」 興奮したような愛流の勢いに圧され、玲菜は少し身を引いた。 愛流はそれに構わず先を続ける。 「今朝ね、ひかるがラブレターを貰っちゃったの!」 「えっ」 驚いた顔の玲菜は、そのままひかるへと顔を向けた。 「男の方に?」 「違うよ!」 即座に否定するひかる。 「今回は……な」 ボソッとつぶやいた達也の言葉を、ひかるはあえて聞こえなかったことにした。
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