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「で、その手紙にはなんとありましたの?」
若干固い表情で玲菜が問う。
その質問を想定していたひかるは、再び同じように説明した。
「今日の放課後、ある場所で待ってるから来てくれって。時間が指定されてたんだけど、その時間内に来なかったらフラれたと判断します――だって」
「そう……。差出人はどなたですの?」
「それが書いてないから分からないんだよ」
「手紙を下さるような方に心当たりは?」
「……全然」
「そうですか……」
厳しい表情の玲菜はそう言って口を結ぶと、口元に手を当てて何かを考え始めた。
「心当たりはともかく、筆跡に見覚えはないのか?」
「ない……かな。綺麗な字だったけど」
達也の問いに、ひかるは首を横に振る。
「そうか。まあ、臆病な性格の奴ってのはわかるんだがな」
「何故ですの?」
玲菜は厳しい顔のまま達也を見た。
「名前を書いてないから?」
愛流の予想に達也は「それもあるが」と答えると、別の答えを口にした。
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