その放課後になる前に

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「まぁいいさ。俺にも心当たりは若干あるしな」 「えっ、そうなの?」 その言葉にひかるは驚いた。 今まで自分に気がある人が居るなんて聞いたことがない。 しかも達也はそんな事を言ったことが無かった。 もちろんそれを達也に言ったところで仕方がない。 もし達也が言っていたところで、ひかるは自分がどうしただろうとは思えなかったからだ。 だからそれ以上は何も言わない。 それ満足したのか、達也はひかるに別の質問を投げた。 「ああ、だからその件はもういいや。それより今日の放課後だろ?」 「うん」 「どこで待ってるって?」 「放課後になったら学校外の――あっ! 言わないよ」 「チッ、おしかった」 指を鳴らす真似をしながら、達也はイタズラが失敗した子供のような顔で悔しがる。 「言わないよ! だって言ったらついて来るでしょう」 「えっ、一緒に行ったら駄目なの?」 ひかるの言葉に目を丸くして驚いたのは、意外にも愛流だった。 「もちろん駄目。てか愛流ちゃん、ついて来る気だったんだ……」 驚かれたことに逆に驚く。 「う、うん。だって気になるじゃない」 控え目に言う愛流だが、意見は変えていなかった。
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