3846人が本棚に入れています
本棚に追加
二人は噴水を回り込むように越え、校舎に入った。
すると下駄箱の前に、二人の友人でクラスメイトでもある、蕪城達也(カブラギタツヤ)が立っていることに気が付いた。
「達也おはよー」
「達也君、おはよう」
「ああ、おはよう。ひかる、ちょうどいいところに来た」
「ん?」
達也は険しい表情でそう言うと、下駄箱の一つを指差した。
そこはひかるの靴がしまわれている場所だ。
「お前の下駄箱な。――爆弾が仕掛けられてるかもしれん」
「えっ?」
朝からまた馬鹿なことを。
普段のひかるなら、そう言って笑い飛ばしてしまうのだろうが、達也の意外と真剣な瞳を見たせいで、それを言うのをためらった。
代わりに違う言葉を選んだ。
「それ、冗談だよね?」
確認の言葉。
冗談ならたいして面白くない冗談だ。
普段から冗談の多い達也だが、今回は首を振って否定すると、
「いや、真剣と書いてマジと読む」
そう言って眉を寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!