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翌日も僕と夢衣は同じように軒先で麦茶をすすっていた。
夢衣が帰省している婆ちゃん家は農家で、昼間は野良仕事に出て婆ちゃんはいない。
無駄に広い部屋は、長い時間の中に取り残さた無人島のようで――僕らの世界の中心だった。
悠久に続くかのような時間。
それが限られた時間なのは僕も夢衣もわかっている。
それが一時の夏の幻であることも。
特別な時間は期限つきの切符のように、日々その瞬間を切り取っていく。
だからこそ僕は、確かな何かを求めていた。
夏休みが終わる前に特別な想い出が欲しかったんだと思う。
僕は禁止された遊びに夢衣を誘う事にした。
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