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翌日、僕はいつものように祖母の家に通った。
雑木林の合間の、ほそうされてないジャリ道をしばらく進むと、打ち捨てられた一基の鳥居が木々の合間から僕を迎えた。
昔、近くに神社があったのかも知れない。
だが今は、その名残とばかりに、この鳥居だけが取り残されていた。
その下をくぐったすぐ先に祖母の家があるはずだ。
僕はペダルをこぐ足に、よりいっそう力を込めた。
地面のジャリをかむ振動が、じかに腰を打ち付けてくる。
僕のお尻は、早馬のように鞭打たれ、祖母の家に急がせた。
林の隙間からカヤブキ屋根の古い軒並みが見えてくると、夢衣の家は間近だ。
なぜか車体が軽くなったように感じた。
僕はよりいっそうペダルに重心をのせる。
それに合わしたように僕の胸も高まった。
雑木林を抜け一気に視界が開けると、眩しく輝く世界が広がった。
古いながらどっしりと構える、祖母の家が出迎えていた。
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