69人が本棚に入れています
本棚に追加
頭一つ分の距離で僕らは見つめあっていた。
夢衣はまるで、僕からの次の言葉を待っているようだった。
僕の中で好きだと言う感情が産まれては繰り返す。
簡単な言葉だ。そう思いながらも口に出すのは難しい言葉。
今しかないという思い。
だが今のこの関係を崩す勇気がもてない自分。
焦りと苛立ち(イラダチ)。
あらゆる感情の波を感じながら、次の瞬間、僕は違う言葉を口にしていた。
「あっ」
そこまで言いかけて息が詰まる。
今ならまだ言葉をかえる事が出来る。
でもその勇気は結局僕にはなかった。
「アブが飛んでて・・・ 危ないと思って」
そこで言葉は途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!