風鈴夏

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頭一つ分の距離で僕らは見つめあっていた。 夢衣はまるで、僕からの次の言葉を待っているようだった。 僕の中で好きだと言う感情が産まれては繰り返す。 簡単な言葉だ。そう思いながらも口に出すのは難しい言葉。 今しかないという思い。 だが今のこの関係を崩す勇気がもてない自分。 焦りと苛立ち(イラダチ)。 あらゆる感情の波を感じながら、次の瞬間、僕は違う言葉を口にしていた。 「あっ」 そこまで言いかけて息が詰まる。 今ならまだ言葉をかえる事が出来る。 でもその勇気は結局僕にはなかった。 「アブが飛んでて・・・ 危ないと思って」 そこで言葉は途切れた。
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