5人が本棚に入れています
本棚に追加
非常に不条理な話しだが、やはり親の不貞な行為は子供の虐めの対象になるのだ。
あやなとけんと君は、何度も何度も殴られ、蹴られた。
「汚い!!」
「バイ菌だ!!」
「腐ってる!!」
「親がデキてるからお前らもデキてるんだろ!!キモい!!汚い!!」
どれだけの罵声を浴びただろう。
鼻や口、耳からも出血した。
涙も沢山でた。
でも、あやなも、けんと君も、なにひとつ悪いことなどしていない。
だから謝る言葉も無い。
ただ痛みに堪え、「痛い!!」と泣き叫ぶばかりだ。
「やめて!!」と叫ぶだけだ。
公園の、鉄製のさくに、何度も体や頭を打ち付け、
「やめて痛い!!」
と泣き叫ぶばかりだ。
何でこんな目に合うのか解らない。
そんな思いでいっぱいだった。
どのくらい続いたのだろう。
いじめっ子達は、何か捨て台詞を残して帰って行った。
もう耳はほとんど聞こえていない。
しばらくして、あやなもけんと君も、やっとさくに捕まるような形で立ち上がった。
あやながおもむろに口を開く。
「大丈夫?」
と。
すると、今まで口を開かなかったけんと君が何かブツブツと呟いている。
「えっ?何?」
そう聞き返したあやなに、けんと君は、ガバッと顔をあげて
「お前のせいだ!!
全部お前が悪いんだ!!
お前がいなきゃこんな事にならなかったんだ!!
お前なんか大嫌いだ!!
お前なんか死んじゃえば良いんだ!!」
と大声で怒鳴り、あやなの体を勢いよく突き飛ばした。
あやなは体制を崩し、サクの向こう側へ落ちて行った。
サクの向こうは小さな崖になっていて、あやなは2~3メートル下の草原に頭から落下してそのまま気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!