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その言葉はすこんと胸に落ちた。納得すらした。斬るだろう。何時かこの男が自分に敵対するのなら。しなくとも。 これ以上不用意に、自分の中に踏み込むのなら。 「今、我が貴様の首を掻き切ることも出来る」 「ああ。俺もな」 緩慢とした動作で、男は盃を地に落とした。 「哀しいなぁ」 亡羊とした口調で 「哀しいなぁ 俺はお前が好きで、お前は俺が好きだ。 何時か殺しあうのに、な」 「 痴れ事を」 事実だろ。と笑った。 否定は、しなかった。
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