始まりは夢の中で

3/7
前へ
/14ページ
次へ
「あ、すみません」 私の目線に気づいたのか、その男は謝ってきた。 年はそんなに変わらないくらいかな…。ジャージに西高と陸上部の文字が見えた。 「いえ、大丈夫です」 あ、胸元に名前が書いてある。 相川…か。 ガタンゴトン…ガタ…ゴー… …ん? 何だろう。 気のせいかな。 いつもより電車の速度が速い。 ガタン… 違う、何かが変。 ゴトン… おかしい。 ガタン… 「え…?」 停車駅を過ぎた。各駅停車のはずなのに…止まっていない。 「どういう事だ?」 「止まらないぞ」 一気に車両中がざわつき始めた。 「あの…」 キョロキョロ周りを見ていると女性が話しかけてきた。 「はい」 「これって、各駅停車ですよね?」 「はい…」 「おかしいなあ…。今の駅で降りようとしたんだけど…」 「どうしたんですかね」 「うん~」 電車は止まることはなく、ずんずんと進んでいく。 動きたいけれど、満員電車では、うまく身動きがとれない。 ドンドンッ 振り向くと、サラリーマンがドアを叩いている。 「どういうことだよ!!開けてくれ!」 ドンドンッ
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加