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ガタン…ガタン…
「あっ」
さっきより、外の景色がゆっくり見える。
何人かも気づいたようで、やはり、電車の速度が遅くなってきたようだ。
希望の光に思えた。
「私…私…早く降りたい…外に出たいの…」
顔を真っ青にさせた女の人が私の肩に手を置いてきた。
「大丈夫ですよ。電車の速度も落ちてきたみたいだし…きっとすぐ出られますよ」
自分に言い聞かせるように、その人に言った。
「どいて…どいて…」
女の人は私の声が聞こえていないように、座席の方へ体を進めて行った。
「どいて…どいて…」
「ちょっ…何だよ」
「外に出たいの…邪魔…どいて…」
「お…いっ」
半ば強引に座席の男の人をどかし、窓に手をかけた。
ガタッ
「おい!何してるんだ!」
「外に出たいの…」
「止めろ!危ないぞ!死にたいのか!」
完全におかしくなってる彼女は窓を開け、頭を外へ出した。
そのときだった。
スパンッ
ゴッ
シュー…
頭のない体が床を強く打った。
ナイフでもない窓が、きれいに頭を切り落としていた。
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