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「じゃぁ、またね♪」
唯さんはわざと明るく手を振り、後ろを向くとスタスタと歩き出した。
遠ざかる唯さん。
そんな唯さんに、
誰も声をかけない。
「待って!」
声をかけたのは、
そう、あたし。
あたしは龍也のお腹に一発パンチをしてから、振り返った唯さんの元へ走って向かう。
パンチをしたのは、なんとなく龍也の事がムカついたから。
「ん?なに?ニコッ」
唯さんは驚きながらも、
ニコッと優しく微笑んだ。
「あっあの、鍋パしましょう」
「えっ?でも、隼人が‥」
「あ~それならだいぢです(笑)」
「でも‥‥‥‥‥‥」
「行きましょっ♪」
あたしは唯さんの腕を掴み、半ば強制的に皆の元へ再び連れて行った。
数年ぶりの再会なら、もっと話しをしてほしかったし楽しんでほしかった。
理由はわかんないけど、謝っただけで隼人と唯さんの中のモヤモヤが晴れるとは思わなかったから。
それに、あたしと付き合ってんのに、元カノとのモヤモヤがあるなんて嫌。
ただそれだけで、
あたしは唯さんを呼び止めた。
もしかしたら、このあたしの行動が間違っていたのかもしれない。
この先に起こる出来事は、
きっとこの日から始まった。
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